Coop Lights


Copy Lights Manifesto

1. Copy Lights Manifesto (2013)

Copy Lightsとは何か?

 私が提唱するCopy Lights運動とは、グローバルで知的財産を共有し、貢献をベースとして運用するライセンスを提唱し、それを実現するシステムを構築することで、自立・共生のある社会を実現することを目指した運動である。

 具体的には、知に対する貢献と、地域社会に対する貢献を定量化し視覚化し権利を付与することで、人や組織がより全体的な利益のために活動することを促進することを目指すものであり、そして、最終的には下に示すような社会の実現を目指すものである。

 Copy Lightsライセンスの要旨を下記に示す。

なぜCopy Lightsを作成しないといけないのか?

 商用の知的財産権にみられるような過度な保護は、知的財産のコラボレーションを阻害し、新しい知的生産がなされることを阻害してきた。

 また、知は国境を超えるものであるのに対し、知的財産は各国の法体系や各組織間の契約で運用されており、国境や組織を超えた商用の知の共有は決してスムーズにいくものではない。  このため、国内で発生した権利が海外で守られないといった権利保護されるべきものがされないという状況であり、その一方で協調すべきものが協調されず新しい知的生産の妨げとなっているというちぐはぐといえる状況である。

 一方、GNUのような知的資産の国境や組織に対するわけ隔てないオープン化、進化を目指した運動は大きな成果を挙げたが、結果的に知的資産の経済的な価値の下落を生じさせ、また、商業的な価値が大きな領域にはあまり広がらなかった。
 加えて、知的生産をした組織や人に対して敬意が払われず、他者の成果を使ったものが勝つという風潮を生じさせたという負の側面も社会的に見過ごせないほどになってしまっている。経済的成果の大半が知的生産により発生しているのにも関わらず、学問不要論、アート軽視論、アイディア軽視論が幅を利かせるようなちぐはぐな状況である。

 このようなことから、GNUのような知を共有する仕組みだけでなく、グローバルで知を共有しつつ、知的な貢献に対してインセンティブが発生する国際的な仕組みも必要なのだと考えている。なお、これはGNUを否定するものではなく、双方が住み分けすることが必要であるとの考えである。

 さて、さらにもっと広い視野で世界を俯瞰すると、グローバル企業と国家、保護貿易と自由貿易、自然環境保護と消費社会、国家間、民族間、資本家と貧困層、企業間、正社員と派遣、男女間、世代間、雇用と効率化、というようにあらゆる場面において対立構造が存在することがわかる。

 歴史をみれば対立構造が深化するとアノミーやカオスが発生し、人類は戦争という犠牲を払ってそれを克服してきた。  現在は、核兵器という環境に対して致命的なダメージを与える大量破壊兵器が存在することが歴史と異なり、人智によりそれを乗り越えるのかどうか、人類は一つのターニングポイントにあるといえよう。

 前述の対立構造の多くは「囚人のジレンマ」的な問題に帰結するが、囚人のジレンマ的な問題の一般的な解決方法は、互いをよく知り信頼しあうことである。これは、互いの文化や背景を尊重しつつ、より高次な発展をすることであると考えるが、これは互いの文化やコミュニティを尊重した形でグローバルな知を発展させていくことでもある。また、加えて、各人が地域社会に対しての貢献を考えて行動することでもある。

 このように、文化やコミュニティを尊重しながらグローバルな知を発展させていき、知的な貢献、社会的な貢献を進めていく枠組みが必要なのであり、その枠組みを形成することがCopy Lightsを作成しなければいけない理由である。

 私は若い頃は機械を専門にしていたが、その頃の夢は機械の高度化により少子高齢化する社会を助け、また、人を体を痛めるような労働から解放することであった。また、自然と調和した持続可能性のあるシステムを作ることを夢見たこともあった。
 そして、このような多くの社会的問題が技術的には解決するものだが、実際にはほとんど実行されることがないということをたくさんみてきた。
 このような思いも、Copy Lightsを作る大きな動機になっている。

Copy Lightsをどのように配布するか?

 Copy Lightsは誰でも自由にオープンなものからクローズドなものまで多様な形態でグローバルなコミュニティを形成でき、また、誰でも参加者になれる運動である。
 私は、基本的なルールと、それを実現するためのシステム仕様を提供する。

(ルールや仕様の配布方法はまだ未定。時期をみて仕様やルールをオープンなものにするが、最初はワーキンググループ内で共有する。)

 また、システムの実装形態の一例として1つのITプラットフォームを提供したいと考えている。

 Copy Lightsはコミュニティ間、国境間の交流を活性化する潤滑油でもあり、私が示す共通のルールはその潤滑油としての機能をより効果的にし、かつ、持続的なものとするものである。
 また、単純な効率性のみを追求せず、保護すべき文化は保護するよう、バランスをとることをシステム的に行うものである。
 基本的なルールに関する文書は、ライセンスの定義に関する文書と、各コミュニティや国ごとの活動におけるルールを規定する際のガイドラインに関する文書から構成される。

 システム仕様は、コミュニティ内やコミュニティ間や国境間の交流をより効率的かつシームレスにするためのものである。
 また、APIやフォーマットの形式で提供することで、文書でのルールの曖昧さをより厳密なものとするものでもある。

 提供するITプラットフォームは、ルール化や運用の手間を大幅に削減するためのものであり、 また、より高度なプラットフォームを形成するのに有益なものであり、互換性のある異なるプラットフォームを形成する際に参考となるものでもある。

なぜ他の多くの人がCopy Lightsに賛同するのか?

 Copy Lights運動に多くの人が賛同する理由を、多角的に説明しよう。

 産業界はどうだろうか。知的な領域の価値が大きい現在のような社会において、社会が富むこととは、多様性があり、ニッチな産業がたくさん生まれる社会であると考えるが、知的な部分が平均化・平準化しないようにグローバル化を進めることは、経済活動の活性化に寄与するため、経済的にもプラス効果が大きい。
 また、既存の大組織であれば、既に保有している知的財産を世界市場に対して有効に活用できるし、他社の(自社にとって)有益な技術を利用することもできる。
 したがって、産業界からは賛同が得られやすいだろう。

 個人はどうだろうか。周りを見渡すと誰でも得手不得手があり、また、ちょっとしたアイディアは誰にでもあるものだが、それを実現する敷居が高かったり、実現方法がわからなかったりで、なかなか実現されないものである。
 そういったものを実現するためのチームを形成したり、必要な知的資産をうまく活用するということが容易に出来れば、より多くの人がよい社会の実現のために具体的な行動を起こせるようになるし、実現できることの幅が広がる。
 また、基盤の整備により少ないリスクで自分の夢に挑戦することができるようになる。
 このような理由から、何かを創りたいという個人からの賛同は得られやすいだろう。

 例えば、開発者やデザイナーであれば、様々な国にて開発されたソフトウェアやコンテンツ資産を活用できて、表現力の幅が広がるし、独自色を出したソフトウェアやコンテンツを創りやすくなるだろう。
 また、中々評価が難しい知的生産に関して正当に評価されれば社会的評価を受けやすくなるし、世界中でソフトウェア資産が活用されるバイアスがかかれば利用者が増すためモチベーションも向上するだろう。
 したがって、開発者やデザイナーからの賛同も得られやすいだろう。

 また、一般の個人も、一定の規制の範囲で世界中のコンテンツを楽しむことができるし、コンテンツや技術のコラボレーションによりコンテンツの質が向上するため楽しみが広がるし、各人の社会的貢献により社会はより住みやすいものになるだろう。
 その副作用として、高品質なコンテンツが有料化・有償化される可能性が増すが、クリエーターが生活基盤を確保しながら安心して創作活動にとりくむことができればよりよいものが生まれるだろうし、元々無償のものが有償になるわけではないし、賛同を得られるだろう。

 裕福層であれば、イノベーションが容易になり新しい産業が多く発生するため、実業の投資先がたくさん発生し、社会貢献と経済的な利益が両立するため、賛同が得られやすいだろう。

 地域労働者であれば、自分の好きなことをやりながら自分の夢に挑戦することができるようになるだろう。また、各人の社会的貢献により社会はより住みやすいものになるだろう。
 ローカルの文化を保護する仕組みによりグローバル化で生活が脅かされるリスクが減るし、また、新規ビジネスがたくさん立ち上がることで雇用情勢もよくなることだろう。

 イノベーターであれば、アセット化の仕組みが新規事業を創るための土台となるため起業の敷居が下がるだろう。
 また、社会貢献を望む資産家の投資を呼び込みやすくなるため資金調達が容易になるだろう。

 多国籍企業であれば、未開拓の地域にも展開しやすくなり、また、国境を超えた知の共有が楽になるためスムーズな展開ができるだろう。
 それは、世界の多くの貧困にあえぐ人たちの生活環境をよくすることにも繋がるだろう。

あなたはどのようにしたら貢献できるのか?

 あなたが持っているCopy RightのRightの部分、--- すなわち権利を ---、light、--- すなわち光 -- に変えて、それを必要としている人に使わせてあげよう。そして、使ってもらった分、他の人のlightも使ってみよう。

 権利といっても、そんなに大層なものでなくてもいい。あなたのちょっとした感性やちょっとした出来事やアイディアが世界のどこかで素晴らしい刺激を与えることがあるのだから。

 お互いがその光で照らし合わせることで、新しい創作が生まれ、新しい技術が生まれ、新しい交流が生まれ、新しい価値が生まれ、つまらない社会的な問題から解放される。
 国境を、文化圏を、言語を、人種を超え、みんなで光を照らし合わせて、お互いが気が付いていなかった闇を光が照らすことで、どんな困難も乗り越えられるだろう。そして、生まれた価値を活用して、新しい光が生まれるための社会基盤を作れば、もっともっと光り輝く社会となるだろう。
 そうすれば、世界はよりよいものになる。
 人がよりクリエイティブになり尊厳や誇りや思いやりの心を持ち、また、未来に希望を持てる光輝く世界にね。

なぜ全ての人が恩恵を受けるのか?

 知的なものの価値とは触媒のようなもので、文化のある要素と要素が知的な化学反応を起こすことで、熱や光が発生し、それが人や社会に恩恵を及ぼす。

 しばし、経済ではパイの奪い合いということが起きるが、Copy Lights運動は、触媒により新しい価値を生み出し、また、社会全体にその恩恵が行き渡るようにする運動であり、つまらないパイの奪い合いや互いを無駄に磨耗させるような活動から人を解放し、より全体的な恩恵のために人が行動するよう働きかけるものである。

 そのような活動の性質から多くの人が恩恵を受けることだろう。

 広い視野で世界をみると、資源を確保する技術、交易する技術、物を生産する技術など、物に関するインフラは世界に既に十分にあり、リソースの観点でいえば、人が不安なく暮らせる社会は実現可能と考えられる。しかし、その過剰なインフラにより過当競争が発生し、世界中で多くの人が経済的に苦しんでいる、そういう状況である。
 また、この潮流を読み、早くに知的な産業、すなわちサービス産業に転換した多くの先進国も知的資産において発生している急激なデフレーションの波に飲まれ、大局的にみて経済が立ち行かなくなっている。

 つまるところ、知的な産業の価値を最大限に高めることで、インフラ過剰による物質的なものの価値の暴落に対する補填をし、世界的の経済の縮小均衡を防ぎつつ、また、物質的な産業から知的産業へのシフトにより資源のこれ以上の浪費拡大や環境汚染を防ぐことが全体の利益になるのだと考える。

Copy Lightsの目標への意義と、簡単にできる反証

 私の目標の意義は、各々が自分の利益だけを追求する社会から、全体のことを考えながら、皆が住みよい社会を目指す社会へのシフトを目指すことである。
 そして、このような社会的なパラダイムシフトがあらゆる社会的な問題を克服するのに役立つものだと信じている。
 さて、最後に、このライセンスやシステムに対して、寄せられた懸念や疑問に対して、私の考えを述べよう。

Q. コミュニティに対して多くの貢献をした人が意思決定の権利を有することにより、少数意見が反映されないのではないか?

A.  各人が新しいコミュニティを自由に形成することができるため、あるコミュニティ内において、少数意見を排除するような動きがあれば、新しいコミュニティを作ってその中で自治をするやり方もある。
 また、コミュニティ内で予め変更不能なルールを作っておき、コミュニティの上位貢献者が好き勝手な自治をすることを防止することもできる。
 いずれにせよ、本ライセンスの主旨は、各人が最高のパフォーマンスを出せる環境にて自由に創作できることを目指すものであり、そのために多くの選択肢を示すものですから、マイノリティが現在よりも不利になるということはないと考えている。

Q. 世界中が富めば人口爆発は止まらなくて持続可能でないのでは?

A.  先進国において人口増大はそれほど進んでいない。そのことに対する私の持論を言えば、マズローの欲求のピラミッドでいうところの上位の欲求に達するほど出生率が下がる傾向にあり、社会の成熟が進めば人口爆発は抑制されると考える。
 したがって、知的産業の拡充により人口爆発は起きないし、持続可能社会を創るという目標とも矛盾しないと考えている。

著作権の草案

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